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パーフェクトトップとアレスダイナミックTOP——同じ「ラジカル制御」でも、つやの選べる数が違います

見積書に「アレスダイナミックTOP」と書いてあって、調べたらパーフェクトトップと同じような説明が並んでいた——という方へ。その感覚は正しいです。どちらも水性のラジカル制御形で、各社の売れ筋。カタログの言葉づかいもよく似ています。ただし公式が公開している仕様を並べると、はっきり違う点が3つあります。つやの選べる数・強化剤という仕組み・そして年数の出し方です。価格は両社とも公開していますが、基準の書き方が違います。どれも好みではなく、施主にとっての使い勝手が変わるところです。

このページの内容全13項目

先に結論——違うのは4つだけです

樹脂のグレードも、水性であることも、ラジカル制御という考え方も同じです。各社が自社の売れ筋として推している、同じ位置の製品どうしです。公式の記載で違うのは、次の4点でした。

パーフェクトトップ
日本ペイント
アレスダイナミックTOP
関西ペイント
つやの段階5段階(つや消しを含む)特長欄は4段階(艶あり・7分・5分・3分)。ただし塗装仕様の注記には「艶消し」が出てきます
特別な仕組み—強化剤(湿潤面・高湿度でも施工可)
価格の公開材工価格を公表(コンクリート・モルタル3工程で4,240円/㎡ 等)設計価格表を公開(カタログNo.265)
3工程で3,700〜4,850円/㎡(300㎡以上が基準)
何年もつか数字は出していません(カタログの製品対比表に耐用年数の行がありません)製品ページとカタログの図に「15年」(塗り替えサイクルコスト)
塗装仕様選定ガイドでは「13〜16年」

この4つ以外は、ほぼ横並びです。だから「どちらが良い塗料か」という比べ方は、あまり意味がありません。あなたの家と工事の条件で、どちらが都合がいいか——そういう選び方になります。

つやの段階——公式の中で記載が揃っていません

いちばん実際的な違いがここです。

選べるつや
パーフェクトトップ5段階(つや消しを含む)
アレスダイナミックTOP艶あり/7分艶/5分艶/3分艶の4段階(関西ペイント公式)

関西ペイントの公式ページの「主な特長」には、「艶の選択が可能(艶あり、7分艶、5分艶、3分艶)」と書かれています。ここだけ読むと、いちばん艶を落としても「3分艶」までです。

ところが、同じページの「標準塗装仕様」の注記には、こう書かれています。
「※艶消しは、希釈率0〜10%としてください。」(標準塗装仕様・通常仕様の注記)
「※艶消しに強化剤を使用すると、つやムラを生じますのでご使用出来ません。」(湿潤面・高湿度環境仕様の注記)

特長欄には3分艶までしか並んでいないのに、塗装仕様の注記では「艶消し」を前提にした指示が出ています。つまり公式サイトの中で、記載が揃っていません。当サイトは製品を仕入れていないので、どちらが現在の正なのかを断定できません。

ですから、ここは「無い」ではなく「確かめてください」と書きます。つや消しにしたいという希望がはっきりある方は、見積もりの段階で「この製品でつや消しは出せますか。メーカーに確認していただけますか」と聞いてください。塗装会社は販売店を通じてメーカーに確認できます。色とつやは、製品と数量が決まったあとでは変えられません——だから聞くのは契約前です。

一方、パーフェクトトップ(日本ペイント)は5段階で、つや消しが並んでいます。つや消しが最優先の条件なら、記載が揃っているほうを選ぶという判断はあります。

つやは低いほど汚れやすくなる傾向があります。つや消しが選べることと、つや消しにすべきかは別の話です。艶の考え方はつやあり・つやなしのページにまとめています。

公式の塗装仕様を、そのまま並べます

関西ペイントが公式サイトで公開している標準塗装仕様(通常仕様)です。適用下地はコンクリート・モルタル・窯業系サイディングボード・ALC・各種旧塗膜。

工程材料標準所要量
kg/㎡/回
希釈率塗り重ね乾燥時間
23℃
下塗アレスダイナミックフィラー(主材16kg)
中毛ローラー
0.30〜0.50上水5〜10%8時間以上7日以内
下塗同・砂骨ローラー0.80〜1.50上水1〜5%同上
上塗1回目アレスダイナミックTOP(主材15kg)
ハケ・ローラー
0.12〜0.14上水3〜5%2時間以上7日以内
上塗2回目同0.12〜0.14上水3〜5%—

パーフェクトトップの使用量は0.11〜0.17kg/㎡/回(日本ペイント公式)。ほぼ同じ帯です。塗る量で差がつく製品ではない、ということが数字で分かります。

ここで見ていただきたいのは、むしろ「下塗が指定されている」ことです。アレスダイナミックTOPの仕様にはアレスダイナミックフィラーという専用の下塗が組み込まれています。上塗だけを他社製品に替える、という使い方は仕様から外れます。見積書に上塗の名前しか書いていない場合は、「下塗は何を使いますか」と聞いてください。

下塗りは、9種類の中から選ばれています

前の章の仕様表で、下塗に「アレスダイナミックフィラー」が指定されていました。ただし公式には、その表の下にこう注記されています。

※下塗には、アレスダイナミック防水フィラー、アレスダイナミックプラサフ、アレスダイナミックシーラーアクア、アレスダイナミックシラーマイルド、アレス水性エポレジン、浸透形Mシーラー、エコカチオンシーラー、アレス弾性ホルダー防水形、アレスゴムタイルニューラフなども使用可能です。(関西ペイント公式・標準塗装仕様の注記)

標準の1つに加えて、9種類の選択肢が並んでいます。これは、下塗りが「上塗りのおまけ」ではなく、下地に合わせて選ぶ工程だということの、メーカー側からの裏づけです。

名前を全部覚える必要はありません。見ていただきたいのは、性格の違いだけです。

名前に入っている言葉だいたいの役割
フィラーとろみがあり、細かい凹凸やひびを埋めながら面をつくる
防水フィラー・弾性伸びる膜をつくる。ひび割れが動く下地向け
シーラーさらさらで、下地に染み込んで固める。吸い込みが強い壁向け
プラサフ密着と面づくりを兼ねる
マイルド弱溶剤タイプ。旧塗膜の種類を選ばないときに使う

だから、見積書に下塗りの名前が書いてあるかどうかが効いてきます。書いてある会社は、10通りの中から1つを選んだということです。書いていない会社が手を抜いているとは限りませんが、「下塗は何を使いますか。なぜそれですか」と聞くと、下地をどう見たかがそのまま返ってきます。長く塗っていない壁で下塗りが変わる理由は20年塗っていない外壁のページに書いています。

アレスだけにある「ダイナミック強化剤」——濡れている面にも塗れます

アレスダイナミックTOPには、パーフェクトトップにはない仕組みがあります。「ダイナミック強化剤」という添加剤です。公式の製品仕様では「仕上材・下(中)塗・湿潤面用強化剤」と分類されています。

速乾剤のように乾きを早めるものではありません。関西ペイントの説明はこうです。

独自の緻密・強靭塗膜形成技術により高い付着力を発揮します。下・中塗材「アレスダイナミックフィラー」さらに「ダイナミック強化剤」と組み合わせることで、従来は塗装できなかった湿潤面への塗装も可能になります。(関西ペイント公式)

つまり「くっつく力を上げて、濡れている面にも塗れるようにする」ための添加剤です。公式は「梅雨時期への対応だけでなく、高湿度になりやすい場所(北面、水回り付近、日陰)にも有効」としています。付着試験の基準としてJIS基準値 0.7N/mm²、JIS温冷繰り返し10回試験後の結果も公表されています。

工期は「延びる」のか「縮む」のか——両方です

ここは誤解しやすいので、分けて書きます。

工程通常仕様の
塗り重ね乾燥時間
強化剤仕様の
塗り重ね乾燥時間
下塗(フィラー)8時間以上7日以内16時間以上7日以内
上塗1回目2時間以上7日以内8時間以上7日以内

1回あたりの待ち時間は、確かに延びます(下塗で2倍、上塗で4倍)。公式も「乾燥時間は乾燥面に比べ2〜3倍程度乾燥が遅くなります」と注記しています。

ですがメーカーが売りにしているのは、その逆の効果です。

工期遅延が少なくなり、近隣への心配もなくなります。計画通り足場を撤去できるため、安全性や洗濯など日常生活への影響も少なくなります。(関西ペイント公式)

理屈はこうです。通常なら雨上がりで外壁が濡れていれば、乾くまで塗れません。梅雨や、日の当たらない北面では、その待機日が積み重なって工期が延びます。強化剤を使えば濡れていても塗れるので、その待機日が消えます。1回の乾燥時間は延びるが、雨待ちの日数が減るので、全体では計画どおりに終わる——という主張です。

施主として知っておくべきことは2つです。

  • 「強化剤を使います」と言われたら、条件が悪いと判断されたということ。梅雨時期、北面が多い、日陰が多い——そういう現場です。手を抜くための材料ではありません。
  • 塗り重ねの間隔が長くなるのは正常です。「今日は1回塗っただけで帰った」と感じても、仕様どおりの可能性があります。気になれば「強化剤仕様だと乾燥に何時間必要ですか」と聞いてください。

「梅雨でも普通に塗れる」という意味ではありません

ここは誤解されやすいので、はっきり分けます。雨の時期に塗れない理由は2つあります。

塗れない理由中身強化剤で解決するか
下地が濡れている雨上がりで外壁に水分が残っている。塗ってもくっつかない◯ これが強化剤の役目です
空気が乾かない湿度が高くて塗った塗料が乾かない× 解決しません

公共建築工事標準仕様書は「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」と定めています。これは強化剤を使っても変わりません。関西ペイント自身も「乾燥時間は乾燥面に比べ2〜3倍程度乾燥が遅くなります」と注記しているとおりです。

つまり「雨上がりの濡れた壁に塗れる」のであって、「雨の日でも湿度が高くても塗れる」わけではありません。季節と条件の考え方そのものは塗装をやめた方がいい時期はある?にまとめています。

公式は「艶消しに強化剤を使用すると、つやムラを生じますのでご使用出来ません」とも注記しています。つまり「つや消し」と「強化剤」は同時に使えません。湿気の多い条件で強化剤を使う現場では、つやの選択肢がそのぶん狭くなるということです。また湿潤面に塗るときは水分の巻き込みを考慮して、希釈を1〜3%程度少なく調整するとも指定されています。

湿潤面仕様のとき、現場が実際にやっていること

「濡れていても塗れる」と聞くと、そのまま塗り始めるように思えますが、公式の仕様書はもっと細かく指示しています。3つとも、施主が見て分かることです。

公式の指示意味
「水滴はウエス、雑巾などで拭き取るか、エアーブローまたは新品の中毛ローラーにて除去する」水滴は取ります。濡れていても塗れるのは「湿っている状態」までで、水が溜まっているところにそのまま塗るわけではありません
「上塗2回目は乾燥した状態で塗装ください」最後の1回は、乾いてから。強化剤仕様でも、仕上げの回だけは条件が戻ります
「手工具で簡単に剥がれたり、下地から浮いた旧塗膜に対しては、適切なケレンと下地処理を行ってから塗装してください」強化剤は、下地処理の代わりにはなりません。浮いている古い塗膜は、先に落とします

3つ目がいちばん大事です。「付着力が高い」という説明は、剥がれかけの塗膜の上から塗ってもくっつく、という意味ではありません。メーカー自身がそう書いています。下地処理を省いた工事は、どの製品を使っても結果は同じです。下地処理で何が行われるかは手抜き工事のページにまとめました。

もう1つ、材料の数え方も公開されています。湿潤面仕様では、下塗りが「主材16kg+強化剤0.08kg×1」、上塗りが1回ごとに「主材15kg+強化剤0.08kg×2」です。上塗りのほうが、缶あたりの強化剤が倍入ります。見積書に「強化剤」の行が立っているなら、それは材料が実際に足されているということです。

何年もつか——「15年」と書いているのは、関西ペイントのほうです

塗料の年数は、メーカーが書かないことのほうが多い項目です。この2つも「どちらも書いていない」と思われがちですが、実際は片方だけが数字を出しています。

関西ペイントは、アレスダイナミックTOPの公式製品ページと公式カタログ(カタログNo.774・全8ページ)の両方に、「塗り替えサイクルコスト」という図を載せています。横軸が塗替周期(年)で、帯の中に年数が入っています。

塗料塗替周期30年間の塗替回数
アレスダイナミックTOP15年2回
従来フッソ樹脂塗料15年2回
従来シリコン樹脂塗料10年3回
従来ウレタン樹脂塗料8年4回

出典:関西ペイント公式「アレスダイナミックTOP」製品ページ内の図「塗り替えサイクルコスト」および同社カタログNo.774の同じ図。図に添えられているのは「耐久性の良い塗料を選ぶことで長期間の保護が可能になり長い目で見るとトータルコスト低減につながります」の1行です。

読み方は1つだけです。関西ペイントは、自社のアレスダイナミックTOPを「従来のフッソ樹脂塗料と同じ15年」の位置に置いています。同じページの特長欄にある「最上位品フッソに迫る高耐候性」という言い方の、数字での裏づけがこの図です。シリコン樹脂塗料は10年、ウレタン樹脂塗料は8年として並べられています。

同じカタログの「塗料の種類」という図にも、「平均的塗替周期(年)」という軸があります。アクリル樹脂塗料5年/ウレタン樹脂塗料8年/シリコン樹脂塗料10年/フッソ樹脂塗料15年。グレードの話をするときに使われる年数が、そのままメーカーの図に入っているということです。

根拠として示されているのは、促進耐候性試験(キセノン照射)の光沢保持率です。3,000時間の時点で、アレスダイナミックTOPと従来フッソ塗料はほぼ100%のまま。従来シリコン塗料は約82%、従来ウレタン塗料は約44%まで落ちています。

一方の日本ペイントは、年数という項目そのものを置いていません。パーフェクトシリーズの公式カタログ(全15ページ)には外壁用上塗り塗料5製品の対比表がありますが、行に並ぶのは「区分・色合い・つや・荷姿・ベース:硬化剤・1液/2液・機能性能・適用下塗り」で、耐用年数という行がありません。

その代わりに日本ペイントが載せているのが、「塗装10年経過物件の事例」です。埼玉県K様邸(2012年9月施工/2022年取材)の施工前と10年経過後を並べて、「チョーキングもなく、つやを維持」「藻やかびが生えることなく、美しい外壁」と書いています。三重県F様邸(2013年7月施工)も、施工から9年経過した写真が載っています。年数を数字で約束する代わりに、年数の経った実物を出すという書き方です。

どちらが誠実か、という話ではありません。施主として使えるのは、次の1行です。

塗料年数について、公式に確かめられること
アレスダイナミックTOPメーカーが図で「15年」、仕様ガイドで「13〜16年」としている。塗装会社が「20年もちます」と言ったら、メーカーの図より長い数字を出していることになります
パーフェクトトップ数字はない。あるのは10年経った実物の写真。「メーカーが何年と言っています」という説明が出てきたら、それはメーカーの数字ではありません

もう1つ、年数の書かれた資料があります。関西ペイントの塗装仕様選定ガイドには、仕様ごとに「塗り替え年数の目安」という行があり、外壁の塗り替え仕様ではアレスダイナミックTOPが13〜16年(同じ表の無機・MUKIは17〜20年)です。注記は「※1:一般環境における次回塗り替えまでの目安になります。環境条件により増減します。」。図の15年は、この幅の中にあります。

15年は保証年数ではありません。塗替周期は、下地の状態・立地・方角・工事の丁寧さで前後します。年数という数字そのものの読み方は外壁は何年もつ?にまとめています。

価格は、両社とも公開しています——基準の書き方が違います

ここが、比べるときにいちばん効いてきます。——そして当サイトは、ここを一度まちがえていました(下の注記)。

メーカー価格の公開施主にできること
日本ペイント
パーフェクトトップ
材工価格を公表
コンクリート・モルタル3工程で4,240円/㎡ 等
見積書の単価と突き合わせられる
関西ペイント
アレスダイナミックTOP
設計価格表(カタログNo.265・2026年7月現在)を公開
3工程で3,700〜4,850円/㎡・施工規模300㎡以上が基準
見積書の単価と突き合わせられる。ただし基準の面積を頭に置く

関西ペイントの設計価格表の5ページ目に、アレスダイナミックシリーズの行があります。同じ上塗りでも、下塗材と仕上げで金額が変わる書き方です。

下塗材仕上げアレスダイナミックTOP(3工程・円/㎡)強化剤を使うとき
アレスダイナミックフィラー平滑3,700+160円
アレスダイナミックフィラーさざ波4,420+360円
アレスダイナミック防水フィラーさざ波4,850+360円
アレスダイナミックプラサフⅡ平滑3,980+140円

表の注記の原文です。「材工共設計価格です。施工規模300㎡以上(屋根は100㎡以上)を基準と致します。これより少ない面積の場合は割高となります。」「下地調整代(鉄部の素地調整を含む)・養生費・足場代・諸経費・法定福利費は含まれておりません。」「設計価格の中塗、上塗については、白及び淡彩色のみ記載しております。」(関西ペイント「設計価格表」カタログNo.265)

ここから読み取れることが2つあります。

  • 強化剤は、価格表の上でも別の行です。上の強化剤の章で書いた「湿潤面にも塗れる」仕組みは、使うと㎡あたり140〜360円上がると、メーカー自身が書いています。見積書に「強化剤」の行があれば、材料が足されている分の金額です
  • 戸建ては、この数字より高く出るのが普通です。基準は300㎡以上で、それより小さい面積は「割高となります」と表に書かれています。30坪の家の外壁は100㎡台です。足場や下地調整も入っていません

日本ペイントの材工価格は、公共建築工事の仕様書に合わせた資料の数字です。基準の条件が同じとは限らないので、4,240円と3,700〜4,850円を並べて、どちらが高い・安いとは言えません。使いみちは、それぞれの製品の見積書を、そのメーカー自身の表と照らすことです。同じ表で無機の上位品に上げたときの差は無機塗料のメーカー比較に書きました。

ついでに、主要メーカーの状況を並べておきます。

メーカー価格の公開
エスケー化研設計価格表2026年度版を公式サイトで公開(誰でも閲覧可・100㎡の列もある)
日本ペイント材工価格を公表(公共建築工事の仕様書対応資料)
関西ペイント設計価格表(カタログNo.265)を公開(製品検索ページからPDF・300㎡以上が基準)
アステックペイント確認した範囲では見つからず(製品ページ・カタログで確認)

「見つかりませんでした」は公開されている場所を確認できなかったという意味で、存在しないと断定するものではありません。この節は、2026年8月29日の公開時には関西ペイントを「確認した範囲では見つからず」と書いていました。製品一覧とアレス特設ページだけを見た結果で、設計価格表は製品検索ページの側にありました。9月11日に同社の設計価格表で確かめ、直しています。

見積書にこの製品名があったら、確かめる3行

ここまでの内容を、見積書を見るときの3行にまとめます。製品名が書いてあるだけでは、まだ何も決まっていません。

見る行そこで分かること
下塗りの製品名10通りの中から選んだかどうか。書いていなければ「何を使いますか」
強化剤の有無あるなら条件の悪い現場だと判断されたということ。理由を聞けば、北面・日陰・時期の話が返ってきます
つやの指定「艶あり」なのか「3分艶」なのか。書いていない見積書は、後で揉めます

そして、この3行を2社に書かせると、いちばん差が出ます。同じ家に対して、片方は下塗りにフィラー、もう片方はシーラーを選んでいる——そういうことが起きます。どちらが正しいかではなく、なぜそう選んだかを両方に聞けるのが、2枚目の見積書の価値です。一括見積もりサービスを使えば、同じ条件で複数社に出してもらう手間が1回で済みます。

そもそも「ラジカル制御」とは何なのか

両方のカタログに出てくる言葉なので、ここで整理します。

ラジカルは、塗料に入っている白い顔料(酸化チタン)に紫外線が当たったときに出る物質です。これが塗膜そのものを内側から壊していきます。チョーキング(外壁を触ると白い粉がつく現象)の正体もこれです。

「ラジカル制御」は、樹脂のグレードの名前ではありません。シリコンやフッ素は樹脂の種類ですが、ラジカル制御は劣化を抑える仕組みの名前です。ここが混同されやすいところで、「ラジカル制御だからフッ素より上」ということではありません。

関西ペイントは公式で、高性能シリコン樹脂・UVトラップ・ラジカルバリヤーコート・HALSラジカルキャッチャーという4つの技術でラジカルの発生を抑えると説明しています。日本ペイントも同じくラジカル制御形として、高耐候性・低汚染性を挙げています。やろうとしていることは同じです。

グレードの考え方そのものは塗料のグレードのページに、フッ素・無機と迷っている場合はフッ素塗料のページにまとめています。

では、どちらを選べばいいのか

結論から言うと、施主が指名して選ぶ場面はあまりありません。塗装会社は仕入れルートと使い慣れで製品を決めていることが多く、「パーフェクトトップでお願いします」と言っても、扱っていない会社には無理だからです。

そのうえで、判断材料になるのは次の3つです。

あなたの状況向いているほう理由
つや消しにしたいパーフェクトトップ5段階でつや消しが明記されている。アレス側は特長欄が3分艶までで、仕様の注記とずれている(要確認)
見積書の単価を自分で検算したいどちらでも両社とも価格を公開しています(関西ペイントは設計価格表No.265。300㎡以上が基準なので、戸建てはそれより高く出ます)
湿気の多い立地・条件の悪い時期アレスダイナミックTOPダイナミック強化剤で湿潤面にも塗れる(雨待ちの日が減る)

それ以外の条件では、ほぼ差がつきません。塗る量も同じ帯、どちらも水性のラジカル制御形、どちらも各社の主力です。製品名で迷うより、その会社が「なぜうちの家にこれを選んだか」を説明できるかどうかのほうが、よほど大事です。

よくある質問

アレスダイナミックTOPとパーフェクトトップ、どちらが長持ちしますか?

年数を出しているのは、関西ペイントのほうだけです。アレスダイナミックTOPは公式の製品ページとカタログNo.774の図「塗り替えサイクルコスト」で15年(従来フッソ樹脂塗料と同じ、従来シリコン樹脂塗料は10年)とされています。日本ペイントはパーフェクトシリーズのカタログの製品対比表に耐用年数の行そのものを置かず、代わりに「塗装10年経過物件の事例」として10年後の実物写真を載せています。15年は保証年数ではありません。同じ水性のラジカル制御形で、塗る量もほぼ同じ帯(0.12〜0.14と0.11〜0.17kg/㎡/回)なので、製品名の差より、下地の状態と施工の丁寧さのほうが結果に効きます。

つや消しにしたいのですが、アレスダイナミックTOPでもできますか?

公式の記載が揃っていないので、確認が要ります。関西ペイントの「主な特長」欄は「艶あり・7分艶・5分艶・3分艶」の4段階ですが、同じページの標準塗装仕様の注記には「※艶消しは、希釈率0〜10%としてください」と書かれています。当サイトはどちらが正かを断定できないので、「この製品でつや消しは出せますか。メーカーに確認してください」と塗装会社に聞いてください。なおつや消しと強化剤は併用できません(公式注記)。つや消しが最優先なら、記載の揃っているパーフェクトトップ(5段階)という選び方もあります。いずれにしても、聞くのは契約前です。

「強化剤を入れます」と言われました。追加料金ですか?

料金の扱いは会社によるので、見積書で確認してください。中身は「ダイナミック強化剤」という添加剤で、付着力を上げて、濡れている面にも塗れるようにするものです。速乾剤ではありません。塗り重ねの乾燥時間は延びます(下塗8時間→16時間、上塗2時間→8時間・公式仕様)が、メーカーは逆に「工期遅延が少なくなる/計画通り足場を撤去できる」と説明しています——雨上がりでも塗れるぶん、待機日が減るからです。「なぜ必要なのですか」と聞けば、現場の状態(梅雨・北面・日陰など)の説明が返ってくるはずです。

アレスダイナミックTOPの値段が調べても出てきません

関西ペイントの設計価格表(カタログNo.265)に載っています。製品ページやアレス特設ページからはたどれず、同社の製品検索ページからPDFを開く形です。アレスダイナミックTOPは3工程で㎡3,700〜4,850円で、下塗材と仕上げで変わり、強化剤を使うと140〜360円上がります。基準は施工規模300㎡以上で、足場や下地調整は入っていないため、戸建ての見積書はこれより高く出るのが普通です。単価が妥当かどうかは、複数社の見積もりを並べて判断してください。

上塗だけアレスダイナミックTOPに変えてもらえますか?

仕様から外れます。公式の標準塗装仕様では、下塗にアレスダイナミックフィラーという専用品が組み込まれています。上塗だけ差し替えると、メーカーが示した組み合わせではなくなります。見積書に上塗の名前しか書かれていない場合は、「下塗は何を使いますか」と確認してください。

見積書に「アレスダイナミックTOP 3回塗り」とあります。これで十分ですか?

下塗りが何かを確認してください。公式の標準塗装仕様は「下塗(アレスダイナミックフィラー)+上塗2回」で、上塗を3回塗る仕様ではありません。「3回塗り」と書かれている場合、下塗1回+上塗2回を合わせて3回と数えていることがほとんどです。その下塗りが何なのかは、公式に9種類の選択肢が挙がっています。「下塗は何を使いますか」と聞けば、下地をどう見たかが分かります。

強化剤を使うと、下地処理は簡単で済みますか?

済みません。関西ペイントの公式注記に「手工具で簡単に剥がれたり、下地から浮いた旧塗膜に対しては、適切なケレンと下地処理を行ってから塗装してください」と明記されています。強化剤は、濡れている面に塗るための材料であって、下地処理の代わりではありません。また湿潤面仕様でも「上塗2回目は乾燥した状態で」と指定されていて、最後の1回は条件が戻ります。

どちらを使っているかで、業者の良し悪しは分かりますか?

分かりません。塗装会社は仕入れルートと使い慣れで製品を選んでいることが多く、製品名は会社の質を示しません。判断材料になるのは「なぜうちの家にこれを選んだのか」を説明できるかどうかです。下地の状態・立地・希望のつや——そこに触れた説明が返ってくるかを見てください。

参考にした情報

最終確認日:2026年9月11日(価格の章・仕様ガイドの年数)/2026年9月9日(年数の章)/2026年8月29日(その他)。参考:関西ペイント株式会社「設計価格表」カタログNo.265(2026年7月現在・5ページ=アレスダイナミックシリーズ、表の注記)/同社「塗装仕様選定ガイド」推奨塗装仕様[塗替](外壁:コンクリート・モルタル・ALC等、窯業系・金属系サイディングボード。「塗り替え年数の目安」と注記※1)/関西ペイント株式会社「アレスダイナミックTOP」製品ページ(主な特長・製品仕様・標準塗装仕様〈通常仕様〉・標準塗装仕様〈湿潤面・高湿度環境仕様〉および各注記、図「促進耐候性試験結果」「塗料の種類」「塗り替えサイクルコスト」)/同社カタログNo.774(全8ページ・22年10月14刷/同じ3つの図を掲載)/日本ペイント株式会社の製品情報および公共建築工事標準仕様書対応の製品塗装仕様書/同社「新パーフェクトシリーズ」カタログ(全15ページ・外壁用上塗り塗料5製品の対比表に耐用年数の行なし、「塗装10年経過物件の事例」=埼玉県K様邸2012年9月施工・2022年取材/三重県F様邸2013年7月施工・施工から9年経過、シリーズ累計1.9億㎡・戸建て100万棟分=当社試算)。塗装仕様と所要量はメーカーが示す標準値で、実際の使用量は下地の状態で変わります。価格の公開状況は上記日付時点で公式サイトを確認した結果です。

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