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外壁のコウモリ対策——フンで気づいたら。ただし、塞いではいけない隙間があります
フンが落ちていて気づいた——という方がいちばん多いと思います。調べると、どのページにも「追い出して、隙間を塞ぎましょう」と書いてあります。それは正しいです。ただ、外壁塗装の側から見ると、ひとつだけ抜けている話があります。外壁には、わざと開けてある隙間があるのです。湿気を逃がすためのもので、ここをシーリングで埋めると壁の中が蒸れます。塞いでいい隙間と、塞いではいけない隙間を分ける——このページはそこを書きます。あわせて、捕まえてはいけないという法律の話も、条文で確かめておきます。
※本ページはプロモーション(広告)を含みます。
このページの内容全15項目
先に結論——順番が決まっています
やることは3つです。そして順番を間違えると、事故になります。
- 追い出す——光や音、市販の忌避剤で出ていってもらう。捕まえてはいけません。
- いなくなったことを確かめる——中に残ったまま塞ぐと、閉じ込めることになります。
- 入口を塞ぐ——ただし通気のために開いている隙間は、埋めずに網で止めます。
3番目が、このページの本題です。「隙間を塞ぐ」まではどこにでも書いてありますが、外壁には塞いではいけない隙間があります。ここを分けずに全部埋めると、コウモリはいなくなっても壁のほうが傷みます。
先に、いちばん危ないところ
中にいるまま入口を塞ぐと、出られなくなります。そうなれば壁の中や天井裏で死ぬこともあり、そこまでいくと取り出すのに壁を開けることになります。自治体の案内がそろって「いない時に(または追い払ってから)塞ぐ」と書いているのは、このためです。
まず法律——捕まえるのも、殺すのも禁止です
「野生の生き物だから勝手にしていい」と思われがちですが、逆です。コウモリは法律で守られている側です。条文で確かめます。
まず、コウモリがこの法律の対象かどうか。
「この法律において『鳥獣』とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう。」
——鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)第2条第1項
コウモリは哺乳類です。だからこの法律の「鳥獣」にあたります。朝倉市も公式ページで「哺乳類であるコウモリはこの鳥獣保護管理法が適用されます」と書いています。
次に、何が禁止されているか。
「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。」
——同 第8条(ただし書きで、第9条第1項の許可を受けた場合などは除かれます)
ここで出てくる「捕獲等」の中身も、同じ法律の中で定義されています。
「捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)」
——同 第2条第8項
つまり禁止されているのは「捕まえること」と「傷つけたり殺したりすること」です。網でつかまえて外に逃がす、というのも「捕獲」にあたります。善意でも避けてください。
許可を取る道はあります。
「学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等(中略)をしようとする者は、(中略)都道府県知事の許可を受けなければならない」
——同 第9条第1項(環境大臣の許可となる場合もあります)
北九州市の案内も、この形になっています。「専門業者に依頼して捕獲する方法もあります。捕獲には福岡県の許可が必要になります」——つまり捕獲は、許可を持っている人がやることです。
罰則は「懲役」ではなくなりました
「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」(第1号に第8条違反)
——同 第83条
「懲役」ではなく「拘禁刑」です。自治体のページには「1年以下の懲役」と書かれているものもありますが、これは刑法の改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたためで、条文の表記が書き換わっています。同じ書き換えは廃棄物処理法の罰則でも起きています。
追い出すのは、許可が要りません
ここまでを裏返すと、「捕まえない・傷つけない」やり方なら、法律が禁止しているものにはあたりません。だから自治体は、住民向けに追い出し方を具体的に案内しています。
| 方法 | 自治体の案内 |
|---|---|
| 強い光 | 朝倉市——「夜行性のコウモリは、強い光に弱いのでライトなどの強い光で誘導して家の外に追い出し、侵入口を塞ぎましょう」 |
| 煙 | 北九州市——「(火を使わずに)煙の出るタイプの害虫駆除剤を屋根裏に置いてみてください」 |
| 忌避剤 | つくばみらい市——「ナフタリン等の固形忌避剤を置いたり、スプレータイプの忌避剤を噴射する等により追い出す」 |
| 音・超音波 | 朝倉市——超音波発生装置やラジオの音声を嫌う傾向がある、としています |
| 塞げないとき | 朝倉市——「侵入口にCDやアルミ箔等を設置するとコウモリが出す超音波を乱反射させる効果があり、近づき辛くなります」 |
いずれも「出ていってもらう」やり方です。捕まえる工程が入っていないのが、共通点です。
高いところでの作業は、それ自体が危ないです。つくばみらい市も「高所である場合には危険ですので、専門業者への依頼についてもご検討ください」と添えています。脚立で届く高さかどうかは、先に見てください。
時期を外してください——冬眠中と、夏の出産期
いつやるかで、うまくいくかどうかが変わります。
「なお、冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です。」
——北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」(更新日2025年7月11日)
冬眠中は、追い立てても動きません。そして夏は、飛べない子どもが中にいます。この時期に入口を塞ぐと、閉じ込めることになります。
日本の家でよく見られるのはアブラコウモリという種類で、繁殖については国立環境研究所の資料に記載があります。
| 項目 | 記載 |
|---|---|
| 体長 | 50mm程度 |
| ねぐら | 建造物や洞窟など。採餌は公園・農地・河川・ため池など開けた場所 |
| 繁殖 | 10月に交尾。冬眠中は精子が貯えられ、冬眠終了後の4月末に受精。妊娠期間は70日程度 |
| 産む数 | 2〜4頭(平均2.6〜3) |
| 活動 | 夜行性。日没後10〜30分後に餌をとりに出る |
——国立環境研究所「侵入生物データベース」より
「日没後10〜30分後に餌をとりに出る」は、そのまま調べ方に使えます。日が沈んだ少しあとに外に立って、どこから出てくるかを見る。昼間に壁を眺めて探すより、出入りしている場所が分かりやすいはずです。
そして「ねぐらは建造物」と書かれているのが、この話の全部です。コウモリにとって家は、洞窟の代わりです。蜂の巣と同じで、塗装で足場を組むと見つかることがあります。
どんな家に来やすいのか
「うちだけなぜ」と思っている方へ。コウモリが来る家には、はっきりした理由があります。そして理由の半分は、家そのものではなく「まわり」にあります。
①餌になる虫が、近くにいる
アブラコウモリが何を食べているかは、国立環境研究所の資料に書かれています。採餌をするのは「公園・農地・河川・ため池など開けた場所」。食べているのは蛾・ハエ・カメムシ・ハチ・甲虫のなかまです。
そして朝倉市は「1頭のコウモリが1日に食べる虫の量は、蚊くらいの大きさの昆虫で約500匹」と紹介しています。
川・池・田んぼ・公園が近い家は、それだけで条件がそろっています。さらに外灯や自動販売機の明かりに虫が集まる場所が近ければ、そこは食堂です。これは家の造りではどうにもなりません。
②昼に隠れられる場所がある
国立環境研究所は、アブラコウモリのねぐらを「建造物や洞窟など」としています。家は、洞窟の代わりに使われています。
体長は50mm程度。この体が入る場所があるかどうかで決まります。雨が当たらず、風が抜けず、昼間に暗い場所——戸袋の中、シャッターボックス、軒の奥、壁の中。次の章で場所を並べます。
③一度ねぐらになると、続きます
市の案内が「棲み付かれる前または、追い出した後に侵入口をふさいでください」(北九州市)と書いているのは、追い出しただけでは戻ってくるからです。「今年もまた来た」という家は、入口が残っています。
「外壁がつるつるだと来ない」について
この説明はよく見かけますが、公的な資料では確かめられませんでした。当サイトでは「表面がざらざらだから来る/つるつるだから来ない」とは書きません。分かっているのはねぐらが「建造物」だということと、体長が50mm程度だということまでです。
塗り替えで表面の状態は変わりますが、それでコウモリが来なくなると約束できる根拠を、当サイトは持っていません。効くと分かっているのは「入口をふさぐこと」です。
外壁のどこから入っているのか
まず、探し方から。昼間に壁をにらんでも、なかなか分かりません。時間を決めて外に立つほうが早いです。
出入口を見つける、いちばん現実的な方法
日が沈んだ少しあとに、外から建物を見る。国立環境研究所の資料では、アブラコウモリは「日没後10〜30分後に採餌を行う」とされています。その時間に、どこから出てくるかを見てください。
あわせて、フンが落ちている場所を探してください。自治体もフンや羽音を相談の例として挙げています。落ちている場所のま上に、出入りしている隙間があることがあります。
そのうえで、外壁まわりで疑う場所を挙げます。
| 場所 | なぜそこか |
|---|---|
| 外壁の下端と水切りの間 | 通気のために一般的に10〜15mm程度あけてある隙間です。壁の中につながっています |
| 軒天と外壁の取り合い | 板と板が合わさる部分。すき間ができやすく、小屋裏につながっています(軒天) |
| 換気口・換気扇のフード | そもそも穴が開いている場所です。網が破れていたり、外れていることがあります |
| 戸袋・シャッターボックス | 中が空洞で、雨が当たらない。ねぐらとして条件がいい場所です(シャッター・雨戸) |
| 屋根と外壁の取り合い・破風まわり | 板金の継ぎ目や、経年で開いた部分(破風) |
| 目地の切れ・ひび割れ | 本来ふさがっているはずの場所。ここは直す対象です(シーリング・外壁のひび割れ) |
| 使っていない配管の穴 | エアコンを外した跡など。ふさぎ忘れが残っていることがあります(外壁の穴) |
この表を見ると、あることに気づきます。上のほうの3つ——外壁の下端、軒天、換気口——はわざと開けてある穴です。下のほうの3つは本来ふさがっているべき場所。
コウモリにとっては同じ「入れる隙間」ですが、家にとっては意味がまったく違います。次の章が、そこの話です。
※アブラコウモリは体長50mm程度とされています(国立環境研究所)。ただし「何センチの隙間から入るか」という数字は、公的な資料では見つけられませんでした。当サイトでは書きません。大事なのは寸法より「その隙間が何のためのものか」です。
外壁には「塞いではいけない隙間」があります
ここが、このページでいちばん書きたかったところです。
いまの木造住宅の外壁は、板を柱に直接張っていません。間に「胴縁」という細い木や金物をはさんで、壁の中に空気の通り道を作っています。外壁通気構法といいます。
この通り道には、下に入口、上に出口が要ります。そして入口は、外から見えるところにあります。
空気の入口は、外壁のいちばん下
外壁材の下端と、土台の水切りとの間には、一般的に10〜15mm程度の隙間をあけます。ここが空気の入口です。(出典=城東テクノ「外壁通気構法で注意したい施工のポイント」。同記事はフラット35の木造住宅工事仕様書を参考として挙げています)
コウモリが出入りしているのが、この隙間だったらどうなるか。
シーリングで埋めてはいけません。埋めると、壁の中の空気が動かなくなります。湿気が抜けなくなった壁で何が起きるかは、直貼りの家で分かっています——塗膜がふくれ、板が傷みます。縦張りと横張りのページで、通気の話をまとめてあります。
塞いではいけないのは、ここだけではありません。
| 場所 | 役割 | 塞いでいいか |
|---|---|---|
| 外壁下端と水切りの間 | 壁の中の空気の入口 | △埋めない。網で止める |
| 軒天の換気口 | 壁と小屋裏の空気の出口 | △埋めない。網で止める(軒天) |
| 換気扇のフード | 室内の空気の出口 | △埋めない。専用の網付き部材にする |
| 戸袋の中・シャッターボックス | 本来は通気のための隙間ではない | ◯基本は塞いでよい(水抜きの穴は残す/シャッター・雨戸) |
| 破損した部分・すき間の広がった目地 | 本来は隙間が要らない | ◯直すのが正解 |
| 使っていない配管の穴 | 役目が終わっている | ◯塞いでよい(外壁の穴) |
見分け方はかんたんです。「その隙間は、家のために開いているのか。それとも傷んで開いたのか」——前者は残す、後者は直す。この一本で分かれます。
いま使っている換気口や配管まわりについても、外から塗り固めてはいけない理由があります。外壁の防水は、表面だけで止めているのではなく、内側にも層があって、入った水を外に出す作りになっているからです。詳しくは外壁の穴と貫通部にまとめました。
だから、塞ぐ材料が変わります
自治体の案内をもう一度読むと、材料の書き方に意味があることが分かります。
「侵入口や住み着いている場所にコウモリがいない時に(または追い払ってから)、その場所にネット(網)やパテ、シーリング材等ですき間をふさぐようにして侵入を防ぐ。」
——つくばみらい市「コウモリを見かけたら」(2025年8月26日)
ネット(網)が最初に挙がっています。そしてパテやシーリング材が続きます。この順番のとおりに使い分けてください。
| 使うもの | 向いている場所 |
|---|---|
| 網(ステンレスや樹脂のメッシュ) | 空気を通したまま、体だけ止めたい場所。外壁下端、軒天の換気口、換気扇のフード |
| パテ・シーリング材 | 本来ふさがっているべき隙間。破損部、目地の切れ、使っていない配管の穴 |
| 金属の板・専用部材 | 戸袋やシャッターボックスなど、形が決まっている場所 |
網を選ぶときは、目の細かさと、外壁側にどう留めるかを業者に確認してください。ビスで留める場合、留めた穴から水が入らないようにする処理が要ります。外壁に穴を開ける作業は、コウモリ対策としては小さくても、防水としては小さくありません。
そして、目地のシーリングが切れて隙間が広がっているなら、それは塗装工事で直す範囲です(シーリング)。コウモリの話が、そのまま外壁の傷みの話につながっていることがあります。
高いところは足場が要る——塗装と一緒にやると無駄がない
コウモリが入っているのは、たいてい手が届かない高さです。軒の下、屋根との取り合い、2階の壁。
そこで作業するには足場が要ります。そして足場は、組むだけでまとまった費用がかかります。コウモリ対策のためだけに1回、外壁塗装のためにもう1回——これは無駄です。
段取りとして現実的な形
①先に追い出しを済ませる(時期を外して)→②塗装工事の見積もりのときに「この隙間の処理も入れてください」と伝える→③足場があるうちに、塞ぐところと網で止めるところをやってもらう
逆に言えば、外壁塗装を考えている時期にコウモリが見つかったのは、段取りとしては悪くないタイミングです。
足場を含めた工事全体がどのくらいの金額になるのかは、費用シミュレーターでおおよその幅が出ます。「コウモリ対策だけで1回足場を組む」と比べてみると、まとめる意味が数字で見えます。
足場が組まれたあとは、足場を外す前に一緒に見せてもらうようにしてください。塞いだところを自分の目で確かめられるのは、足場があるうちだけです。
フンと尿——外壁に残る汚れをどうするか
コウモリで最初に気づくのは、たいていフンです。そしてフンは、出入口を教えてくれる手がかりでもあります。同じ場所に繰り返し落ちているなら、そのま上を見てください。
ただし、扱いには注意が要ります。複数の自治体が、同じことを書いています。
つくばみらい市——「野生のコウモリには、寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるため、素手で触らないようにしましょう。」
朝倉市——「野生のコウモリには、たくさんの病原菌が付着してる可能性があります。素手で触ることは不衛生であり、感染症やアレルギーなどを引き起こすリスクがあります。」
手袋とマスクを使ってください。自治体が案内しているのは「素手で触らない」ところまでで、そこから先の手順までは公開されていません。量が多い場所や高いところは、無理をせず業者に頼んでください。
外壁についた汚れは、塗装工事の高圧洗浄で落ちることが多いですが、洗浄で飛び散らせていい場所かどうかは別の判断です。フンがたまっている場所は、洗う前に業者へ伝えてください。ベランダや雨樋の中にたまっている場合は、先に取り除く段取りになります。
壁に残った跡は、塗り替えのときに一緒に片づく
フンや尿の跡が外壁に残ってしまった場合、掃除だけできれいに戻らないことがあります。とくにリシンやスタッコのような凹凸のある壁は、汚れが入り込むと落としきれません。そういう場合は、無理にこすらず塗り替えのタイミングで一緒に片づけるほうが現実的です。こすって塗膜を傷めると、そこから別の傷みが始まります。
※「いつまで続くのか」も、生き物の暮らしで決まります。国立環境研究所の資料では、アブラコウモリは10月に交尾し、冬眠中は精子が貯えられ、冬眠終了後の4月末に受精。妊娠期間は70日程度とされています。つまり夏は子どもがいる時期です。数が増えれば、そのぶんフンも増えます。ただし「何月がいちばん多いか」を示す公的な資料は見つけられなかったので、月を断定しては書きません。
素手で触ってしまったら
自治体が案内しているのは「素手で触らない」という予防までで、触ってしまったあとの対処は書かれていません。つくばみらい市は「寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れ」、朝倉市は「感染症やアレルギーなどを引き起こすリスク」としています。心配なことがあれば、当サイトの情報で判断せず、医療機関に相談してください。これは塗装の話ではありません。
市役所は駆除してくれません
期待して電話すると、たいていこう返ってきます。
| 自治体 | 書いてあること |
|---|---|
| つくばみらい市 | 「元々日本に生息している自然の生きものであるため、市では駆除や捕獲等を行っておりません」「追い払いや侵入予防策は、御自身または業者などで対応していただくようお願いします。※費用は自己負担となります」 |
| 朝倉市 | 「市では、捕獲、駆除等は行っていません。ご自身の管理地は、ご自身で防除する対応が必要です」(ただし相談すれば対応できる業者を紹介するとしています) |
| 北九州市 | 追い出しの方法を案内したうえで、捕獲については県の担当課の電話番号を案内 |
費用は自己負担です。ただし業者を紹介してくれる自治体はありますので、電話が無駄になるわけではありません。蜂の巣のように補助が出る自治体もある症状とは、そこが違います。
※自治体ごとに書き方が違います。ここに挙げたのは3市の例です。お住まいの市のページを一度見てください。「市の名前+コウモリ」で出てきます。
駆除の会社と塗装の会社、どちらに頼むのか
役割が違います。分けて考えたほうが早いです。
| できること | |
|---|---|
| 害獣の駆除業者 | 追い出し、フンの清掃と消毒、許可を取っての捕獲、侵入口の応急的な封鎖 |
| 外壁塗装・板金の会社 | 足場を組んでの本工事、傷んだ目地やサイディングの補修、通気を残した処理、換気口の部材交換 |
追い出しは駆除業者、塞ぐのは外壁の会社——この分け方が、いちばん噛み合います。
ここで気をつけたいのは、2つの立場で「隙間」の意味が違うことです。駆除する側にとって隙間は塞ぐ対象ですが、外壁にとっては残さなければいけない隙間があります。だから塞いだあとに「ここは通気ですか」と外壁の会社に見てもらうと、行き違いを防げます。
そして外壁の会社にも、通気を分かっている会社とそうでない会社があります。これは聞けば分かります(次の章)。
見積もりのときに聞くこと
ひとつだけ聞くなら、これです。
「この隙間は、通気のために開いているものですか。それとも傷んで開いたものですか。」
現場を見て答えられる会社と、見ないで「全部塞いでおきます」と言う会社に分かれます。この差は、コウモリの話にとどまりません。外壁の中がどうなっているかを分かって工事をしているかどうかが、そのまま出ます。
そのうえで、見積書には次が入っているか見てください。
- どこを、何で塞ぐのか——場所と材料が書いてあるか。「一式」だけだと、あとで確かめようがありません。
- 通気を残す場所の指定——網で止める場所が明記されているか。
- ビスを打つ場合の防水処理——外壁に穴を開ける作業が入るなら、その処理も書いてあるか。
- 追い出しは含まれるか——含まれないことが多いです。「含まれない」と分かっているだけで十分です。
そして比べる相手がいないと、この差は見えません。同じ家を2〜3社に見てもらうと、隙間の説明の仕方だけで会社の中身が出ます。一括見積もりサービスの比較は、その相手を用意するための入口としてまとめています。
よくある質問
コウモリを自分で捕まえて逃がすのは違法ですか?
鳥獣保護管理法は、鳥獣の捕獲等を禁止しています。同法の「捕獲等」は「捕獲又は殺傷」と定義されていて、コウモリは哺乳類なので同法の鳥獣にあたります。捕まえること自体が対象になるため、逃がすつもりでも避けてください。捕獲には都道府県知事の許可が必要です。一方、光や音で外へ追い出すのは捕獲でも殺傷でもありません。自治体の案内も、追い出し方を住民向けに説明したうえで、捕獲についてだけ「県の許可が必要」と書き分けています。
罰則はどれくらいですか?
鳥獣保護管理法第83条で、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。自治体のページには「1年以下の懲役」と書かれているものもありますが、刑法の改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、条文の表記が変わっています。
追い出したあと、隙間は全部塞いでいいですか?
よくありません。外壁には、湿気を逃がすために意図して開けてある隙間があります。外壁の下端と水切りの間や、軒天の換気口、換気扇のフードなどです。ここをシーリングやパテで埋めると、壁の中の空気が動かなくなります。塞ぐ場所と、網で止める場所を分けてください。自治体の案内も「ネット(網)やパテ、シーリング材等で」と、網を先に挙げています。
いつやるのがいいですか?
冬眠の時期と、夏の出産の時期を外してください。北九州市は「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です」と案内しています。中に飛べない子どもがいる時期に出入口を塞ぐと、閉じ込めることになります。
外壁塗装のついでに頼めますか?
隙間を塞ぐ工事は、足場を組む工事と一緒にやるほうが無駄がありません。ただし追い出す作業そのものは、塗装会社の仕事ではないことが多いです。順番としては、先に追い出しを済ませ、そのうえで塗装工事のときに侵入口の処理をしてもらう形になります。見積もりのときに「この隙間はどう処理しますか」と聞いてください。
フンはどうやって片付けますか?
素手で触らないでください。複数の自治体が、野生のコウモリには寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着しているおそれがあるとして、素手で触らないよう案内しています。手袋とマスクを使い、乾いたフンを舞い上げないように湿らせてから片付けるほうが安全です。量が多い場所や高いところは、業者に頼んでください。
市役所は駆除してくれますか?
このページで見た3市は、いずれも行っていません。つくばみらい市は「市では駆除や捕獲等を行っておりません」、朝倉市も「市では、捕獲、駆除等は行っていません。ご自身の管理地は、ご自身で防除する対応が必要です」としています。費用は自己負担です。ただし業者を紹介してくれる自治体はあります。
コウモリが1匹だけいました。どうすればいいですか?
捕まえないでください。鳥獣保護管理法が禁止しているのは「捕獲又は殺傷」です。部屋に入ってきた場合は、窓を開けて出ていくのを待つのが基本で、朝倉市も「もし部屋に入ってきたり、ケガなどの衰弱で保護した場合は速やかに逃がしましょう」としています。そのうえで、どこから入ったのかを確かめてください。1匹入れる隙間は、ほかの個体も入れます。
コウモリが住みついているサインは?
3つあります。1つ目は同じ場所に繰り返し落ちるフン。自治体も「糞や羽音等でお困りの場合」という言い方をしています。2つ目は日が沈んだ少しあとの出入り——国立環境研究所の資料では「日没後10〜30分後に採餌を行う」とされているので、その時間に外から見てください。3つ目は羽音や鳴き声です。フンが落ちている場所のま上を見るのが、いちばん早い確かめ方です。
換気扇の中にいるようです。放っておいていいですか?
よくありません。換気扇のフードは空気の出口なので、ふさがれると本来の役目を果たせなくなります。ただし自分で分解するのはすすめません。手順は同じで、いなくなったことを確かめてから、網の付いた専用の部材に替えるのが筋です。ここを塞いでしまうのは間違いなので、業者に頼むときも「ふさぐのではなく、通気を残して止めてください」と伝えてください。
コウモリ対策に補助金は出ますか?
このページで確認した3市では、出ていません。つくばみらい市は「追い払いや侵入予防策は、御自身または業者などで対応していただくようお願いします。※費用は自己負担となります」と明記しています。市が駆除も補助もしないかわりに、業者を紹介してくれる自治体はあります(朝倉市)。蜂の巣のように補助が出る自治体がある症状とは、そこが違います。お住まいの市のページを一度見てください。
コウモリは害しかない生き物ですか?
そうとは言い切れません。朝倉市は「1頭のコウモリが1日に食べる虫の量は、蚊くらいの大きさの昆虫で約500匹」と紹介しています。困るのはフンと羽音と衛生面で、生き物として悪いという話ではありません。だから法律も、殺すのではなく出ていってもらう方向で組まれています。
参考にした情報
- 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)——第2条第1項「この法律において『鳥獣』とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう。」/第2条第8項「捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)」/第8条「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。」(ただし書きで第9条第1項の許可を受けた場合等を除く)/第9条第1項「学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない」/第83条「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」(第1号が第8条違反)。条文はe-Gov法令検索で2026年8月31日に確認(令和8年7月1日施行の版)
- 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」(更新日2025年7月11日・産業経済局農林水産部鳥獣被害対策課)——煙の出るタイプの害虫駆除剤・忌避剤・ライトアップによる追い出し/「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です」/「棲み付かれる前または、追い出した後に侵入口をふさいでください」/「専門業者に依頼して捕獲する方法もあります。捕獲には福岡県の許可が必要になります」
- つくばみらい市「コウモリを見かけたら」(2025年8月26日・生活環境課)——「市では駆除や捕獲等を行っておりません」/「追い払いや侵入予防策は、御自身または業者などで対応していただくようお願いします。※費用は自己負担となります」/「日本には、約35種のコウモリが生息しており、よく見られるのは『アブラコウモリ』」/「寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるため、素手で触らないようにしましょう」/「侵入口や住み着いている場所にコウモリがいない時に(または追い払ってから)、その場所にネット(網)やパテ、シーリング材等ですき間をふさぐようにして侵入を防ぐ」/「高所である場合には危険ですので、専門業者への依頼についてもご検討ください」
- 朝倉市「コウモリについてのお知らせ」(更新日2025年12月22日・環境課)——「鳥獣保護管理法とは、鳥類または哺乳類に属する野生動物の捕獲と駆除を禁じている法律で、哺乳類であるコウモリはこの鳥獣保護管理法が適用されます」/「1頭のコウモリが1日に食べる虫の量は、蚊くらいの大きさの昆虫で約500匹を食べると言われています」/「市では、捕獲、駆除等は行っていません。ご自身の管理地は、ご自身で防除する対応が必要です」/「夜行性のコウモリは、強い光に弱いのでライトなどの強い光で誘導して家の外に追い出し、侵入口を塞ぎましょう」/「侵入口にCDやアルミ箔等を設置するとコウモリが出す超音波を乱反射させる効果があり、近づき辛くなります」/「野生のコウモリには、たくさんの病原菌が付着してる可能性があります」
- 国立環境研究所「侵入生物データベース」アブラコウモリ——学名 Pipistrellus abramus/「体長50mm程度」/「建造物や洞窟などをねぐらとし、公園・農地・河川・ため池など開けた場所で採餌」/「10月に交尾。交尾後、冬眠中は精子は卵管と子宮に貯精される。冬眠終了後、4月末に排卵されて受精。妊娠期間は70日程度。産仔数2〜4(平均2.6〜3)」/「夜行性。日没後10〜30分後に採餌を行う」
- 城東テクノ「外壁通気構法で求められる住宅品質vol.3『外壁通気構法で注意したい施工のポイント』」(記事提供:NEXT STAGE)——空気の入口として「外壁仕上げ材の下端と水切りとの隙間を一般的に10〜15mm程度」。同記事はフラット35 木造住宅工事仕様書を参考として挙げています
- 自治体の案内は市によって書き方が異なります。ここに挙げた3市は、公開されている内容が具体的だったため例として引用したもので、お住まいの自治体の案内が優先します